手外科について
手外科とは、整形外科のなかで手関節から手指を扱う一分野です。手外科は外傷から発展した分野で、時にマイクロサージャリーと言って顕微鏡を用いる手術を行い、下記に示すような手の外傷、炎症性疾患、腫瘍、変形、神経障害などを診断し、治療します。
当院の手外科の特色
当院では手外科専門医2名が常勤しており、肘関節も扱っております。手外科専門医は、整形外科学会の研修を6年以上受け、整形外科専門医(2023年度、約20400名)を取得し、5年以上の手外科認定施設で研修後、手外科専門医試験に合格し、認定される難関な専門医(2023年度、約1110名)です。手外科分野は手術だけではなく、その後の後療法(ハンドセラピー、リハビリ)が非常に大切になります。当院での後療法は5名のハンドセラピストが担当し、医師と密接なコミュニケーションを取りながら日々日常診療に取り組み、患者様が満足のいく治療を心がけております。
当院で扱う主な肘・手外科疾患
(すべての図は日本手外科学会ホームページから抜粋)
- 外傷
・肘、手関節、手部に至る骨折、関節脱臼(骨折)、靭帯損傷
・腱断裂(指を切った後、指が伸びない、曲がらない)
・切断(手指などが完全に切断された指を治療します)
・外傷後の関節拘縮および腱癒着(手指の動きが悪い)
手指骨折:シーネやギプス固定での治療や手術を行います。
橈骨遠位端骨折:転倒による骨折が多く、ギプス固定や手術で治療します。
切断指:完全に切断されても顕微鏡を用いて再接着術を行い、できる限り元の指に近い状態に戻します。再接着術が施行不可能でも、できるだけ手指の長さを保てるような皮弁術も行います。
- 絞扼性末梢神経障害
・手根管症候群、肘部管症候群など:保存療法で改善しない場合、手術になります
手根管症候群:主に母指、示指、中指と環指の半分がしびれます。
肘部管症候群:主に環指の半分と小指がしびれます。
- 変形性関節症
・母指CM関節症、DIP関節(へバーデン結節)またはPIP関節変形性関節症(ブシャール結節)、変形性手・肘関節症、キーンベック病(月状骨無腐性壊死)
母指CM関節症
へバーデン結節・ブシャール結節
関節リウマチとは異なります。
第1関節の変形性関節症(軟骨が減ること)による変形を「へバーデン結節」、第2関節の変形を「ブシャール結節」と言います。これらの変形(結節)を手術することは少ないですが、第1関節の上にできる水ぶくれのような「粘液のう腫」は、手術対象になることがしばしばあります。
- 腱鞘炎
・ばね指(手指腱鞘炎):手指の付け根が痛くなります。時にばね現象を起こします。
・ドケルバン病(母指狭窄性腱鞘炎):母指の付け根が痛くなります。
・テニス肘(上腕骨外側上顆炎):肘の外側が痛くなります。テニスをしていなくても生じてきます。
これらは保存療法(注射、ストレッチなど)や手術療法で治療します。
手指腱鞘炎とは異なり、デュピュイトラン拘縮(下図)と言って、手指が次第に曲がってくる病気もあり、手術することで手指が伸びるようになります。
- その他
・先天性疾患(合指症、母指多指症)
・腫瘍(ガングリオン、腱鞘巨細胞腫、内軟骨腫、外骨腫など)
・感染(化膿性腱鞘炎、化膿性関節炎、骨髄炎など)
・スポーツ障害(TFCC損傷、野球肘など)