救急科の概要
救急科は、名前のとおり救急対応が必要な患者さんの初療を行います。救急車で急病や外傷で搬送されてくる患者さん、通常の外来診療を受診するも、状態がよくなく危険な状態、不安定な状態と判断される患者さんです。中には意識のない患者さん、ショック状態の患者さん、呼吸が苦しい患者さん、心肺停止の患者もおられます。そして多くの場合、その原因がどのような病気なのか、どんな損傷があるのかわからないことがほとんどです。
当院の救急外来では、まず訓練を受けた熟練の看護師がトリアージを行い、その上で救急部医師が全身状態を評価し、緊急度・重症度を早期に判断し、必要に応じて応急処置・救命処置を行います。さらに当院の各種の最新の診断装置を用いて詳細な診断を行い、早期の専門科の高度な医療が行われるように調整を行います。もちろん転倒による骨折、包丁での切り傷、風邪、肺炎、腸炎等にも対応します。
直接患者さんが救急受診された件数は、令和4年には5,526人おられ、救急車の受け入れ台数は3,755件でした。当院は和歌山市の救急搬送の15%以上を受け入れ、阪南岬地域からも多くの救急患者さんを受け入れています。また、当院は院長の指導のもとCOVID-19の診療にも積極的に取り組んできました。2000年1月に和歌山県で初めて、疑い患者さんのPCR検体採取を行ったのも当院の救急外来でした。またその後県の入院病床が切迫した際には、感染症指定病院以外で初めて陽性患者の入院にも対応し、陽性患者の救急患者搬送、入院受け入れ、さらには入院待機ステーションの運営にも積極的に当院は対応してきました。救急外来はその窓口として活動してきました。
また、当院には集中治療室(ICU)が6床あり、様々な重症患者さんに対応できます。脳卒中の患者さん、心筋梗塞の患者さん、外傷や胃潰瘍からの出血によるショックで輸血を行う患者さん、COVID-19肺炎や心不全で人工呼吸管理を要する患者さんが入室されます。
我々救急部は専門科の先生方と協力して全身管理を行い早期の治癒を目指します。ICUでは専属の看護師がおり、24時間体制の手厚い看護が行われています。また2020年5月に御寄贈により災害医療専用のDMATカーも配備され、災害医療への対応力も強化されました。DMATカーでは近隣の病院、診療所から重症患者さんをご紹介いただいた場合の搬送も行っております。救急専門の医師が同乗することで患者さんの安全を守り、送っていただく医療機関の先生のご負担を軽減することもできます。
救急医療は単独の部署の医師の活動のみでは成り立ちません、専門科医師、看護師、薬剤師、リハビリ、放射線部門、検査部門、栄養部門、事務部門の労災病院の全部所との連携と拠力で成り立っています。また救急医療は地域社会とも密接にかかわります、近隣の医療機関、消防、警察、保健所、行政機関(県、市)との連携も大切にしながら、より充実した救急医療を地域に提供できるように活動していきます。
スタッフ紹介
岩﨑 安博 |
救急科部長 日本災害医学会評議員 |
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有井 菜都乃 |
救急科医師 JATECプロバイダー |